近年、「認知症になったらどうしよう」「財産の管理を家族に任せたいけれどトラブルが心配」といった不安から、任意後見契約を結ぶ方が増えています。
任意後見契約とは、将来自分の判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人に財産管理や生活支援などの権限をあらかじめ任せておく制度です。元気なうちに自分の意思で契約を結べる点が大きな特徴です。
任意後見契約の仕組み
任意後見契約は、本人(委任者)が後見人になってもらう人(任意後見人)を選び、公正証書で契約を結びます。
契約を結んだ時点では後見はスタートせず、本人の判断能力が不十分になったときに家庭裁判所へ「任意後見監督人」の選任申立てを行い、選任された時点から効力が発生します。
つまり、今すぐ財産を預ける契約ではなく、「将来の安心のための準備契約」です。
任意後見契約でできること
任意後見人は、契約内容に基づいて次のような支援を行います。
・預貯金や年金の管理
・病院・施設との契約手続き
・税金や公共料金の支払い
・不動産や介護サービスの手続き など
どの範囲を任せるかは、本人の希望に応じて柔軟に決めることができます。
利用までの流れ
1.相談・内容の検討
どのような支援を受けたいか、誰に任せるかを決めます。
2.契約書の作成
行政書士が契約書案を作成し、本人と任意後見人の希望を整理します。
3.公証役場での契約締結
本人と任意後見人が公証役場で署名し、公正証書として契約を結びます。
4.家庭裁判所への申立て(将来)
判断能力が低下した時点で、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、後見が開始します。
任意後見契約のメリット
・自分の意思で信頼できる人を選べる
・判断能力が低下しても、生活や財産が適切に守られる
・成年後見制度のように家庭裁判所が突然選任する形ではなく、トラブルを防げる
・家族の負担を軽減できる
また、遺言や財産管理委任契約とあわせて準備しておくことで、元気なうちから亡くなった後までの一連の備えを整えることができます。
任意後見の費用
①契約書作成費用
自分で契約書を作成した場合、公証役場の手数料や法務局に収める収入印紙代、登記嘱託手数料など、あわせて2万円程度の費用がかかります。
行政書士や司法書士、弁護士など専門家に依頼する場合は数万円~十数万円程度の費用が別途必要になります。
②任意後見監督人の選任申立てに必要な費用
申立て手数料や登記手数料、郵便切手代など数千円~1万円程度かかります。
③支援開始後の費用(目安)
・任意後見人の報酬:数万円/月
・任意後見監督人の報酬:1~2万円/月(家庭裁判所が決定)
まとめ
任意後見契約は、いつか訪れるかもしれない不安を安心に変える制度の1つです。福祉の仕事に10年以上携わってきた経験と社会福祉士資格を生かして、お客様に寄り添いながらよりよいアドバイスをいたします。
当事務所では、任意後見契約のご相談から契約書作成、公証役場での手続きまでサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
