相続手続きの流れについて解説

大切な方が亡くなったとき、残されたご家族は悲しみに暮れる中でもやらなければならない手続きが数多くあります。相続手続きは複雑で期限があるものも多いため、全体の流れを理解しておくことが大切です。ここでは一般的な相続の進め方をご紹介します。省略している部分もありますので予めご了承ください。

目次

すぐに行うこと

亡くなった日から7日以内」に市区町村役場へ「死亡届」を提出しなければなりません。埋火葬許可申請書も同時に行い、許可書の交付を受けたら葬儀を申し込みます。
亡くなった方が年金受給者の場合、国民年金の場合は「亡くなった日から14日以内」、厚生年金の場合は「亡くなった日から10日以内」に受給停止の手続きをする必要があります。
年金を受給する前に亡くなるなど、タイミングによっては未支給年金の請求ができます。
亡くなった方が国民健康保険被保険者だった場合は「亡くなった日から14日以内」に保険資格喪失の手続きが必要です。
一関の場合、申請すると喪主の方は葬祭費3万円が給付されます。
亡くなった方が世帯主だった場合は「亡くなった日から14日以内」に世帯変更届(世帯主を変更する)の提出が必要です。
電話関連やインターネット、公共料金などの名義変更・解約や、金融機関で口座を凍結する必要があります。

遺産を分割するために

遺言書を確認
遺言書の有無によって相続手続きの進め方が異なるため確認します。自宅内や貸金庫に保管されていることもありますし、公正証書遺言の場合は公証役場で検索することができます。

遺言書の検認
遺言書が見つかった場合は、公正証書遺言のほか、自筆証書遺言保管制度を利用している場合をのぞいて検認が必要です。検認とは、簡単に説明すると家庭裁判所に遺言書の内容などを確認してもらい、偽造や変造を防止するための手続きです。
※遺言の有効無効をチェックしてもらうものではありません。

遺言書がない場合
相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が何を相続するのかを話し合って決めます。

相続人の調査
財産を相続する人をきちんと把握するため、戸籍などを取り寄せて確認します。

相続財産の調査
預貯金や有価証券、不動産、動産など「正の財産」だけでなく、借金など「負の財産」も調べます。

遺産分割協議
相続人の調査や相続財産の調査を終えたら、相続人全員で財産をどう分けていくか話し合います。内容がまとまったら遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名押印します。

遺産分割協議後、早めに遺産を分割することで後述する相続税申告の納税資金を確保できますし、手続きもスムーズに進めることができます。
反対する相続人がいて話がまとまらない場合など、家庭裁判所の遺産分割の調停または審判の手続きを利用することができます。
遺言書がある場合は基本的に書かれてある内容に従って分配しますが、遺言書が無効の場合・内容が不十分な場合は遺産分割協議が必要です。

相続放棄の手続き
相続財産を調査した結果、借金が多いなど相続放棄を選択するケースもあります。相続放棄の手続きは「相続開始を知った日から3か月以内」にしなければならないため、相続財産の調査など速やかに行わなければなりません。

所得税の準確定申告

所得税は毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。年度の途中で亡くなった場合、相続人が代わりに「相続開始を知った日の翌日から4か月以内」に確定申告する必要があり、これを所得税の準確定申告といいます。

名義変更手続き

不動産は法務局で所有権移転登記、預貯金は各金融機関で解約や名義変更の手続きを行います。株式や保険金なども同様に個別の手続きが必要です。

相続税の申告

相続税の申告が必要な場合もあります。相続税の申告・納付期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」と定められています。課税財産の合計額が基礎控除を超えるような場合は、所得税の準確定申告も含め早い段階から税理士などに相談することが望ましいでしょう。

最後に

このように、相続は短期間に多くの手続きを進める必要があり、相続人同士の話し合いが長引くケースも少なくありません。煩雑な手続きであっても専門家に依頼すれば、戸籍収集や相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成などをサポートしてもらえます。相続は一生のうち何度も経験することではないからこそ、専門家の助けを借りながら、円滑に進めていくことが安心につながります。

行政書士くまがい事務所

遺言書の種類についての記事→こちら

遺言書を作成した方がよいケース・メリットについての記事→こちら

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