「今ある田んぼや畑に子どものための住宅を建てたい」
「田んぼにソーラーパネルを設置したい」
「相続で田んぼを引き継いだけど使い道がわからない」
などなど、農地の活用方法でお悩みの方がいらっしゃるかと思います。こうしたときに必要になるのが【農地転用】という制度です。今回は【農地転用】はどういったものなのか、手続きはどういった流れなのかについてみていきます。
農地転用とは?
【農地転用】とは、本来は農業に使うための土地である農地を、宅地や駐車場、資材置き場など農地以外の目的に利用することをいいます。
「自分の土地だから好きなように使いたい」という気持ちもわかりますが、農地は食料生産という公益的な役割があるため、農地法という法律で厳しく守られており、転用する場合には原則として行政の許可や届出が必要になります。
許可を取らずに転用(違反転用)してしまうと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下)を課せられる場合があります。
『農林水産省 農地の違反転用発生防止・早期発見・早期是正へ向けた取組み』より引用
農地というと、一般的に野菜やお米などをつくっている土地をイメージしますが、草木に覆われて一目見ただけではわからない場合もあります。こうした場合でも、登記上が農地であればもちろん転用が必要です。
土地の場所によって転用の難しさが変わる
市街化区域
→周りに住宅や商業用建物が密集している地域。農地を宅地に変えることが推奨されている。
・もっとも転用しやすい
・許可は要らず届出でOK
・届出後、不備がなければ1週間から10日で受理証が届く
市街化調整区域
→農地や自然環境を守るため市街化を抑制する地域。原則として建物を建てることができない。
・転用は難しい
・許可が必要で、届出と比べ提出書類が大幅に増加
・提出後、結果がわかるまで1か月半~2か月以上かかる
農業振興地域内農用地区域内農地(青地)
→農地として保護されている区域。原則として転用不可。転用するには農用地区域から除外する手続き(農振除外)が必要。
甲種農地
→営農条件が高い優良な農地。原則として転用不可。
第1種農地
→営農条件が良好な農地。原則として転用不可。
第2種農地
→いずれ市街化する可能性のある区域の農地や小集団の農地。申請地の周辺に代わりの土地がない場合など転用可。
第3種農地
→市街地の中にある農地。原則として転用可。
どれに該当するかは都市計画図、一関市であれば【一関市公開地図情報サービス いちのせきeマップ】から大体の区分は把握できますが、詳細については役所の窓口での確認が必要です。
市街化区域内の農地転用【届出】の流れ
① 転用したい土地が市街化地域に該当するか都市計画図で確認し、必要があれば役所の窓口で確認します。
② わからないことがあれば市の農業委員会に確認しながら必要書類を揃えます。
③ 市の農業委員会へ書類を提出します。
④ 1週間~10日ほどで受理証が届きます。
⑤ 建築工事など転用作業を始めることができます。
市街化区域外の農地転用【許可申請】の流れ
① 転用したい土地の転用許可がおりる可能性があるかどうか市の農業委員会に相談します。
② 市の農業委員会に確認しながら必要書類を揃えます。ハウスメーカーなどに用意してもらう書類や金融機関で発行してもらう書類など数多くあるので注意が必要です。
③ 市の農業委員会へ書類を提出します。
※一関市の申請の締め切りは毎月5日(5日が閉庁日の場合は翌開庁日)です。
④ 審査が終わり、許可がおりたら許可証が交付されます。市街化調整区域であれば通常1か月半~2か月かかりますが、青地などの場合、手続きから許可証の交付まで1年以上かかることもあります。
⑤ 建設工事などを行い、完了したら市の農業委員会に報告します。問題がなければ転用手続きは終了です。
農地転用をお考えの方は当事務所にご相談ください
農地転用はさまざまな法律とも関わるため、それらに従いながら進めていかなければなりません。必要な書類の作成や収集だけでも多くの労力や時間がかかりますので、行政書士など専門家に依頼することでそれらを大幅に削減できるメリットがあります。